版ズレメンコはアートだ？展
～昭和30年代のTVアニメのメンコを集めて～
版ズレメンコはアートだ？展
～昭和30年代のTVアニメのメンコを集めて～
出展者：LTCスペース
会期：2025年3月15日（土）～2025年4月19日（土）
2025年、早春の企画展は、懐かしの「メンコ」を取り上げます。昭和３０年代後半に登場した初期TVアニメは、ストーリーがあって、音が出て、漫画が動くという今では当たり前の世界観を誕生させ、たちまち日本中の子供たちを虜にしました。それら作品はまたたく間にものすごい人気となり、絵柄を使った様々な遊び道具も誕生しました。その中でもメンコは代表的なもののひとつです。今、当時の絵柄を見ると、著作権などは実におおらかに見送られていたように見える作品（パチモンなどとも呼ばれた）が多く存在しています。その中に、印刷の技術の未熟さ？から生じる版ズレ（印刷の色ずれ）製品があるのですが、見方によってはそこが今に言う「レトロ感」を強く醸し出しているようにも見え、面白いアート作品にさえ見えてくるのです。今回の展示は、そこに着目しています。当時の実物のメンコもほんの少しですが展示しますので、拡大絵柄と共に、おおらかなお心で、懐かしく？面白く？ご覧いただければと思います。桜の季節ももうすぐです。春の息吹を感じる天気の良い日に、ぜひ、お出かけください！
◆この企画展は、昭和30年代・40年代に一世を風靡したテレビアニメ「鉄人28号」「鉄腕アトム」「エイトマン」などを題材として作られたメンコを、アート作品として見ちゃおう！という感性の切り口で、絵柄を拡大してご紹介するものです。当時、まだ始まったばかりだったテレビアニメは、多くの子供たちの心を捉え、空前のブームを巻き起こしました。その人気はメンコというキャンバスにも波及し、はやりのアニメキャラクターが描かれたメンコは、子供たちの間で熱く収集され、交換されました。この企画展では、そうした当時のメンコを資料として展示するだけでなく、単なる収集品というよりも、見方によってはアート作品として昇華して鑑賞できるのではないか？ということを提示いたします。当時の印刷技術の未熟さから生じた版ズレや重ね色のズレは、一見するとただ単に失敗したものにしか見えませんが、見方によってはそれがかえって懐かしさや温かみを感じさせ、独特の風合いを生み出している風にも見えるのです。その時のその印刷のロットでしかできなかった、という希少さも魅力として捉えても面白いのかもしれません。また、メンコを通して当時の社会背景や子供たちの遊び方などに思いをはせることもできそうです。
本企画展の「メンコ」という題材を通して、昭和30年代・40年代の子供たちの熱狂と、アニメ文化の黎明期の雰囲気を少しでも感じ取っていただければ幸いです。
江戸時代から伝わるメンコ遊び
メンコのルーツは江戸時代にまで遡ります。当時は「泥メンコ」や「鉛メンコ」と呼ばれる、粘土や鉛で作られたものが主流でした。これらのメンコは、遊び道具というだけでなく、魔除けのお守りとしても使われていました。
明治時代になると、紙製の「紙メンコ」が登場します。これは、ボール紙の出現によって量産が可能になったことがきっかけでした。紙メンコは、子供たちの間で大流行し、全国各地で様々な種類の紙メンコが作られました。
昭和時代のメンコブーム
昭和に入ると、メンコ遊びはさらに盛んになります。特に、昭和30年代から40年代にかけては、テレビアニメの普及とともに、アニメキャラクターを描いたメンコが登場し、世相とともに大人気となりました。
鉄人28号、鉄腕アトム、エイトマン（この３作品は1964年・昭和３８，３９年開始）などのキャラクターが描かれたメンコは、子供たちの間で熱く収集され、交換されました。中には、希少価値の高いメンコに高価値が付いて取引されることもありました。しかし、高度経済成長期の終わりとともに、メンコ遊びの人気は徐々に衰退していきます。その後、近年になって再びレトロブームに乗って、メンコ遊びが注目されるようになってきました。
メンコに見る昭和の文化
メンコは、単なる遊び道具ではありません。そこには、昭和時代の子供たちの遊び方や、当時の社会背景などが反映されています。
例えば、希少価値の高いメンコを手に入れるために、子供たちは様々な工夫をしていました。また、メンコ遊びを通して、子供たちは仲間との友情を育んだり、競争心や勝負強さを養ったりしていました。このように、メンコは昭和時代の文化を色濃く反映した、貴重な資料と言えます。昭和テレビアニメメンコを貴重な資料としてご覧いただき、それがアートにも見えてくるのか？を遊び心でご覧いただけたらと思います。